自動車部品メーカー・アイシンが美容業界に挑戦する理由。Hydraidは美の未来を変える?
井上慎介(アイシン)×横山慶子(アイシン)×増田拓海(アイシン)
―ウクライナの方々とは、どのようにコミュニケーションをしているのでしょうか?
喜多:初めは言葉が不安だったのですが、意外と日本語を話せる方が多いんです。英語は髪のことなら話せるので、日本語と英語でコミュニケーションをとっています。
最初はどんなこと話そうってすごく迷ったんです。でも、来ていただいた方には、髪を切って、きれいになって、喜んでもらいたい。それだけに集中して、できるだけ普通の「日常」を過ごしてほしいという思いでやっています。
髪が伸びたら切る、お腹が空いたらごはんを食べる、というように、あたり前の日常を過ごしてもらいたいと思うんですよね。
―ウクライナの方にとっても、海外で髪を切るのはわりと勇気がいることだと思いますが、お客さまからはどのようなご要望や反応がありますか?
喜多:「こうしたい!」という明確な要望がある方はあまりいなくて、ある程度はお任せです。いままでやったことがないであろう、ロングヘアからベリーショートに思い切りイメージチェンジされた方もいらっしゃいますし、そのくらいの気持ちに変化をつける必要があったんじゃないかと思います。新しい自分の姿を見ると、気持ちも明るくなりますよね。
あと、「今日はどのくらい切ったらいいかな?」という相談や、学校に通い始めたとか、日本に来てどうだとか、プライベートの近況を話してくれるリピーターの方もいらっしゃいます。自分のことを日本人の「友達」みたいに思ってもらえたらうれしいですね。
―ウクライナの方をカットするようになって、喜多さんのなかで気持ちの変化はありましたか?
喜多:人と人とのコミュニケーションって、言葉が通じるとなんとなくで伝わってしまう部分が多いかなと感じていて。仕事で手を抜いているわけではないのですが、お客さまとの会話や後輩への指導など、言葉が通じると、ルーティン化してきてしまうこともあるんです。
でも、言葉が伝わらないとなると、代わりの何かで伝えようと必死になる。外国人のお客さまが相手だと世間話もできないので、一生懸命カットして、マッサージして、ブローして。また来たいと思ってもらうには、鏡の前で自分のスキルを見せるしかないんですよね。そういうことが美容師にとって一番大事だと、あらためて気づかされました。
ウクライナのお客さまを施術する時間は、お客さまと向き合う気持ちや、美容師という職業に対する考え方を再確認する時間でもあって。ボランティアをとおして、自分も学ぶことが多いです。
―美容師に対する仕事観で変わったところはありますか?
喜多:あらためて、髪を切ることって大事だなと。髪を切れなくなることは、日常が日常でなくなることとイコールですよね。そういう意味で、美容師という職業は、お客さまの髪をきれいにするとともに、日常を届ける仕事でもあるんです。
どこの国に行っても必要とされますし、どこででも活躍できる。ずっと同じ場所で、お客さまに寄り添いながら生きていくのも素晴らしいですし、日本中、世界中のいろいろな場所に行って、自分の技術を提供するスタイルがあっても良い。どんどん新しいことにチャレンジして、多くのことを感じれば、その経験をもとに、美容師としてスケールアップできると思います。
―普段からご利用いただいているHydraidは、「誰もが平等な美を手に入れられる世界の実現」をビジョンに掲げています。髪に痛みやクセなどのコンプレックスがあって、カラーなどをあきらめていた人でも、Hydraidを合わせて使えば挑戦できるようになる。「なりたい自分」を応援するというメッセージが込められていますが、ご存じでしたか?
喜多:はい。それをうかがったとき、「なるほど」と思いました。ぼくがヘアカット支援で大事にしている、お客さまに日常を届けるという思いとも共鳴する部分があります。ハンデやコンプレックスがある人でも、誰もが同じようにヘアスタイルを楽しみたいし、そうした機会が与えられるべきです。
実際にHydraidを使っていて感じるのは、「誰にでも施術できる」ということ。美容室で行なう施術で、髪質を選ばず使用できると思えるものはこれまでほとんどありませんでしたね。
海外の方にもいいと思います。ブロンドヘアの方は、髪が軽くて細いので、トリートメントをしたらすぐに重くなってしまうし、しっかりブローをしないと絡まってしまう。そういう方にとっては、Hydraidのようなケアは効果的なのではないかと。海外には水を使った美容機器はまだないと思うので、可能性を感じています。
―海外展開ですか、面白そうです。今後、美容師や美容室にどのようなことが求められると思いますか?
喜多:美容師は直接会わなければ成立しない仕事なので、アナログな部分の質が求められるのではと思っております。お客さまのライフスタイルに寄り添いながら、毎回の施術で髪をきれいにして、喜んで帰っていただく。
同時に、Hydraidの登場のようにテクノロジーも進んでいくので、ぼくらも変わっていく必要があると思います。「日常を届ける」というような変えてはならない本質を大事にしながら、10年、20年と、ずっとお客さまが増え続けていくお店をつくっていきたいです。
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